現在、大手証券会社の経営管理職を務めるTさんは、2、30代のころ、仕事で成果を上げても「問題社員」と見られ、行き詰まっていました。そんなある日、1冊の書籍と出会ったTさんは、人生の大きな転機を迎えることとに―。
T・Sさん(52歳・愛知県・大手証券会社 営業部長)
月刊「幸福の科学」389号
より転載・編集
(最終更新: )
現在、大手証券会社の経営管理職を務めるTさんは、2、30代のころ、仕事で成果を上げても「問題社員」と見られ、行き詰まっていました。そんなある日、1冊の書籍と出会ったTさんは、人生の大きな転機を迎えることとに―。
T・Sさん(52歳・愛知県・大手証券会社 営業部長)
月刊「幸福の科学」389号
より転載・編集
「私には私のやり方があるんで、口出さないでくださいよ」
「上司に向かってその態度は何だ!」
今から25年ほど前、証券会社の営業マンとして長崎に赴任(ふにん)していた私は、毎日のように上司と激しくやりあっていました。
当時私は、その支店で常に上位の営業成績を収め、若手のホープとして、自分の仕事に自信を持っていました。そのため、上司からの指示を非常に煩(わずら)わしく思い、振られた仕事を突っぱねたりしていたのです。
(あの上司、俺の仕事にケチつけるだけで、何も分かっちゃいない…)
しかし、私が高い成績をキープしても、次第に重要なお客様の担当を外されるようになり、私はますます上司や会社への不満を募らせ、心はいつも苛立(いらだ)っていました。
そんなある日のこと。私は、新しいお客様から、月刊「幸福の科学」という冊子をいただきました。
(幸福の科学? 新宗教だったかな…)
「幸福の科学」の名は、何度かテレビで目にしていましたが、いい印象は持っていませんでした。私は当時、「新宗教は心の弱い人が入るもの」と思い込んでいたので、興味がなかったのです。
(まあ、取引上の付き合いとしてなら…)
私は冊子を受け取ったものの、読む気はさらさらなく、お客様が帰った後は封も開けずに新聞の処分箱に入れました。
しかし、その方は毎月欠かさず、月刊「幸福の科学」を持ってきてくださいます。さすがに読まずに捨て続けることに気がとがめ、あるとき、ぱらぱらと目を通してみました。
(へぇ、意外とイイこと書いてあるんだな)
そこには人生論や仕事論など、現代のビジネスマンにとっても参考になる内容が書かれてあり、新宗教に対するイメージが少し変わりました。
以来私は、月刊誌が届けられる度、内容をしっかり読むようになりました。そのうち、お客様に誘われて、幸福の科学の「心の教え」を学ぶセミナーにも参加するようになっていきました。日常の喧騒(けんそう)を離れ、深く心の内を見つめたり、瞑想(めいそう)に取り組んだりする時間は、ささくれ立った私の心を癒(いや)してくれました。
そしてほどなく、大川総裁の書籍『「幸福になれない」症候群』 を手にしたのです。
「上司とうまくいかなくて悩んでいる人には、ある程度、自分に自信を持っている人が多いようです。そして、上司のやり方がいちいち気に入らず、『自分ならこうする』と考えるのですが、上司はまったく反対の考え方をするわけです」(※1)
(あっ、これは俺のことだ)
書籍から語りかけられる一言ひとことが、不思議と心に染(し)みるように入ってきます。
「上司とうまくいかない原因の一つは、我の強さにあります。あなたはあまりにも我が強いのではないでしょうか。(中略)会社は、組織として生き残っていくことや、さらなる発展を目指すことを目標としているのであり、あなたの自己主張を認めるためにあるわけではないのです」(※2)
(「我の強さ」か。確かにそうかもなぁ……)
ここ数年の行き詰まり感を打開する糸口を見つけたように感じ、私は、毎日『「幸福になれない」症候群』 を線を引きながら読み、気づいたことを書き込んでいきました。
「劣等感が上司への反発心になっている」「上司を出世させる部下が出世する」等々、書籍の内容を心に落としていくうち、次第に、今までは聞きたくなかった上司の指示に、素直に従(したが)えるようになってきたのです。また、「会社や課の利益」という視点を意識して仕事をするようにもなっていきました。
(俺は今まで、自分の成績を自慢していたけど、本当は会社の看板があって仕事をさせてもらってたんだな。ずいぶん、思い上がっていたのかもしれない…)
大川総裁の教えを学ぶうち、数字ばかり追っていたときには考えもしなかった、「感謝の心」が湧(わ)いてくるようになりました。
※1、※2:『「幸福になれない」症候群』 第4章「サラリーマンの『幸福になれない』症候群」より。
それから間もなく、私は長崎から京都に転勤になりました。しかし、長崎時代の"悪評"が災いし、本来、前任者から引き継がれるはずのお得意様が引き継がれないまま配属されることに。今考えれば、それは会社の遠まわしの「退職勧告」だったのでしょう。
担当するお客様が半分近くに減るも、ノルマは逆に上がるばかり。朝から晩まで駆けずり回ってもノルマは半分しかこなせず、業績は支店ワースト2位まで転落しました。
(くっ…。一体どうすればいいんだ)
上司からは、毎日のように夜遅くまで叱責(しっせき)され、心身ともにボロボロに…。
苦しい生活が続くなか、私を支えてくれたのは大川総裁の教えでした。
私は毎日、出社前に大川総裁の書籍を読み、諦(あきら)めたくなる心や悲観的な思いを、(今は自分を鍛(きた)える時期なんだ)と、プラスの思いで上塗(うわぬ)りしていきました。
職場では、大川総裁の法話「ワン・ポイント・アップの仕事術」(※3)を参考に、初心に帰って仕事のやり方を見直し、自分の成果ではなく、「どうしたらお客様が本当に喜んでくださるか」「会社や課にプラスになる仕事とは何か」などを第一に考え、愛の思いで仕事に取り組んでいきました。
毎週水曜日の夜には、地域の幸福の科学の法友(ほうゆう)(※4)たちとの集いに参加します。気の置けない法友たちと、日常のことを何でも話し合えるひとときは、日頃のストレスが抜け、元気を与えてくれる大切な時間でした。
(仕事は大変だけど、不思議と心は幸福感に満ちている。本当に、ありがたいな)
そんな毎日を送っているうち、職場で先輩がアドバイスをくれたり、周囲の方がサポートしてくれることが増えました。次第にお得意様の数も増えていき、営業成績も年々上昇。転勤3年目以降はノルマの3倍近い成果を上げられるようになり、全国トップクラスに。課長への昇進も決まりました。
※3:1997年4月に説かれた法話。書籍『 幸福の法 』(大川隆法 著) の第2章に収録。
※4:共に教えを学ぶ仲間
昇進に伴い東京の本店に異動した私は、数名の部下を任されるようになりましたが、当初、部下のマネジメントが上手(うま)くいかず、課の業績は本店で最下位に―。次なる課題が出てきました。
(今までとは違う、チームで実績を上げる方法を学ばないといけないな)
そこで私は、大川総裁の法話「幸福の科学的経営論」(※5)から、組織マネジメントのポイントを学び実践していきました。
具体的には、社内で営業が上手くいった事例を集め、ノウハウを部下たちに共有しながら、彼らの業績アップにつながる営業方法を一緒に考案します。また、仕事効率を高める時間の使い方を指導し、伸び悩んでいる部下には、スランプを通して心の糧(かて)を培(つちか)ってもらえるよう、私自身の経験を交えて、アドバイスしていきました。
すると、徐々に皆の業績も伸び始め、イキイキと仕事をする社員が増えるにつれて、未達が続いていたチームの業績も、120パーセントを超えるまでになりました。
幸福の科学に出合う前の私は、「自分さえよければいい」と考え、上司との諍(いさか)いが絶えませんでした。しかし今では、「他の人や社会のために尽(つ)くす生き方」こそ、素晴らしい人間関係を築き、成功に入る道だと実感しています。
※5:1996年9月に説かれた法話。書籍『 社長学入門 』(大川隆法 著) の第1章に収録。
上司とぶつかっていた当時の私は、左翼思想に傾いていました。組合の代表も務めましたし、「経営者の責任を追及することが正義なのかな」と思っていたんです。でも、大川総裁の教えで自己責任の重要性を学び、会社の業績に責任を持って仕事に取り組むようになると、成果も上がっていきました。
大川総裁は、「幸福な世界を創るには、自由と民主、信仰が必要」と説かれていますが、私は自分の実体験からも本当にそうだと思いますし、日本においては特に「信仰の大切さ」をお伝えしていく必要があると思っています。
これからも、幸福の科学の教えを広げて成功する人を増やし、幸福な社会をつくる活動に取り組んでいきます。
―Tさんが実践した成功のポイント―
1、自分の欲を抑え、他者の成功を願う
2、仕事のなかで「与える愛」を心掛ける
Tさんの体験談では、周りへの接し方を改善していくなかで幸福感が生まれ、仕事の成果も上がっていったことが語られていました。
そんな「良い人間関係」を築くには、どうしたらよいのでしょうか。押さえておきたいポイントを、大川総裁の著書『青銅の法』から紹介します。
抑えるべき自我とは、「自分さえ良ければ」という行き過ぎた自己保存や自己中心の思いです。それは、自他の間に壁をつくり、嫉妬(しっと)や憎しみの元になることも。周りとの不調和を感じたら、「人を責(せ)める心」を抑え、「認められたい」という思いを手放してみましょう。それが良い人間関係を築く一歩です。
今日からやってみよう
□相手の立場に立って、考えてみよう。
□周りの人に公平に接しているか、反省してみよう。
□陰日向(かげひなた)なくコツコツ努力する習慣を身につけよう。
自我の心を抑えたら、次は周りの観察してみましょう。他の人が苦労し、努力している姿を発見すると、私達の社会が多くの人の力で成り立っているということに気づきます。そして、「自分も社会にお返ししたい」という感謝の心に行動を表してくと、周りと調和できる魅力的な人格に成長していけます。